言わずもがな「お洒落な街」。
大きなショッピングモールがあるわけでもなしに、
小さなイケてる店を目黒川沿いに連ねる。
春には桜の花が満開、桜の写真を撮る人たちの群れも劣らず満開。
そんな「お洒落デートスポット」の中目黒(以下「ナカメ」と呼ぶ場合があります)ではなく、
「普段使い」の中目黒に迫ります。
今回は主に目黒川沿いを歩きます(たまに脱線します)。
R-STOREオフィス(目黒川沿いにあるので)を出て「中目黒公園」が見えたところでスタートし、
首都高速中央環状線を折り返し地点と決めて、反対側を戻ることにします。
「魚と野鳥がすむ目黒川」であることを私は知りませんでした。
それに何本もの橋があって、その名前や色形が異なることも気に留めずに通り過ぎていたけれど、
「橋チェック」をしながら歩くのもなかなか楽しいものだと今回気付きました。
「中目黒公園」は平成14年にオープンした区立公園。
大きな原っぱを子供たちが駆け回っていて(というか何度見ても「かけっこ」しかしていなかった)、
犬を連れた人や散歩する高齢者がちらほら。
中目黒と「子供」ってあまり結びつかなかったけれどこの辺りはファミリー向けのマンションも多く、
暮らす中目黒の姿がありました。
公園内ではハーブを育てていて、決まった日に行くとハーブティーをご馳走になれるそう。
やっぱりちょっと洒落ています。
駒沢通りを越えた辺りから小綺麗なマンションが目立たなくなり、
明らかに随分前からありそうなアパートやヴィンテージマンションが目に付きます。
と同時にこの辺りからどんどん「洒落た小さな店」が軒を連ね始めるけれど、
その殆どが古くからある建物の1F部分を使っているということに気付く。
だからどこか所帯染みていて(良い意味で)、思ったよりも気取っていない(ような気がする)。
気がつけばもう中目黒駅。
ナカメの新スポット「中目黒高架下」(2016年11月22日にオープン。何故か「いい夫婦」の日)は
人間に例えれば「ツンケンした性格の美人な先輩」のイメージだったけれど、
いざ接してみるとこの周辺を利用する人たちのライフスタイルに寄り添う「真面目で優しいクラスメイト」だった。
単独で動き、働き、過ごす人も多いこの場所に「本、珈琲、居場所」の強力タッグ。
素直にありがたい。
ナカメにありそうでなかったショップもすっかりここに入っていて、
「より一層街としての幅を広げやがったな!」という感想。
たまにツンケンした門構えの店もあるので「あの人カッコイイ、勇気を出して話しかけてみようかな」
なんて、そわそわする気持ちを味わうこともできます(感じ方には個人差があります)。
カッコイイ人に会った後は、お母ちゃんに会いたくなる。
「ただいま〜」と定期的に帰りたくなるナカメの台所、「おおたる」。
席につく時やオーダーする時にもたもたしていると、お母ちゃんが明らかにイライラしているのが
手に取るようにわかります。
お母ちゃんが何かしている時に「すみませ〜ん」なんて呼ぼうものなら、
もうそれは地雷以外のなにものでもありません。しつけやや厳しめ。
でもやっぱり、また行きたくなってしまう不思議。
ここで何度酔いつぶれたことかわかりません。(今回もつぶれました)
メニューの豊富さも、その安さも、タータンチェック柄のクロスも、母ちゃんも、
親しい友人と過ごすにぴったりの場所。ランチ営業もしています。
駅を通り過ぎるとまた古い建物を再生したような店がポツポツ増えてきます。
古いからこその良さを殺さないっていうのはこういうことなんだなあ。
中に入らずともテンションが上がります。(閉まっていたので、何屋かは忘れました。)
ここらでちょっと脱線して、右手に入ります。
年末年始や家呑み(R-STOREは家呑みが多いのです)の時に毎度お世話になっている「伊勢五本店」。
見ているだけで酔っ払ってしまいそうなほど酒の種類が豊富。
パッケージを見ているだけでも楽しいので買う予定がなくても立ち寄ってしまう場所。
ワイン、焼酎、日本酒、どれにつけても詳しいスタッフの方が真面目に説明してくださる。
店の奥が角打ちになっていて、一部試飲も可能。大人の手土産はこうでなくっちゃね。
目黒川沿いに戻ってくるとすぐに串カツ屋さんを発見。
ここをパッと見で誰が串カツ屋だと思うだろうか。人気メニューは「いか玉焼き」。渋い。
隣でプリン屋さんも営んでいて、デザートにプリンもいただけます。
もう何本か先の通りをまた右手に脱線すると、
今回中目黒を選んだのはここを紹介したかったから。と言っても過言ではない場所「SML」。
民藝の器を中心に、良い物をズラリ、ギッシリ並べている店。
常時ラインナップが変わるのでいつ行っても新たな出会いがあります。
次来ても置いてないことが多いから、気に入ったらその時に買うのが吉。
こういう店って入りづらくてシーンとしていて小声で話さなければならないような
緊張感に包まれがちだけれど、この店は全然そんなことがない。
流れている空気が気さくで、かかっているBGMもいいからリラックスして選べます。
川沿いに戻ってまた少し歩を進めると、こちらも毎度お世話になっている「DEPT TOKYO」。
80年代に父親が出店した古着屋「DEPT」がいったんは2011年に全店舗クローズになった後、
娘が継承し2015年にオープン。もともとDEPTはよく利用していたけれど、今はより一層「ブティック」感が
増して好み。私のヘビロテワードローブは殆どこちらで購入のものです。
シンプルな洋服のアクセントになるアクセサリーも豊富なので男性陣は恋人へのギフトにどうぞ。
(レディースのみの取り扱いです)
買うものがなくても来るだけでなんとなく「さぼっちゃあかんで」と気合を入れ直してくれる店です。
はやくも折り返し地点、と思って時計を見たら2時間半が経っていました。
目黒川、長い。この道のりも川のほんの一部と思うとやっぱり、長い。
土屋鞄「童具店」。
土屋鞄のランドセルは全て予約制で、だいたい毎年7月頃から受注開始だそう。
毎年12月頃には受注完売(生産できる数が限られているので予定数に達し次第終了)となるそうです。
コードバンのランドセルは大人でも憧れを抱いてしまうような質の良さとお値段でした。
往路終了。
橋を渡って復路のスタートと同時に目に入った「あじさい」。
昼は定食屋さんでランチメニューの看板が出ていたけれど、夜はスナックだそう。
佇まい良し、フォント良し、ネーミング良し。スナック良し。
昼の定食メニューは豚生姜焼き、ハンバーグ、ポークソテー、ハムエッグ、焼き魚など
「分かってるね〜」とうならせるラインナップ。大体800円前後。
「橋チェック」もお忘れなく!これは「目黒橋」。
ドカンと大きな朱色の大きな建物。控えめなサイズで「東京工場」の文字。
こんなところに工場があるなんて。
建物正面に回ってみると、カステラ屋さんでした。
カステラと言えば長崎、この「福砂屋」も長崎が発祥(なんと寛永元年創業)ではあるけれど
東京で、それも目黒川沿いで作っていたとはいざ知らず。
そうと知った瞬間、こっくりとした黄色に薄いシートを剥がしたところのザラメの食感が全身を駆け巡る。
1週間程日持ちするそうなのでお持たせにするならケーキよりカステラ、いいかも。
「ふんわり&しっとり」っていうお笑いコンビがいたらきっと売れるだろうな・・・
なんてことを考えながら川沿いへリターン。
リターンして間も無く目に入ったのは「内科・小児科、目黒川文庫」の文字。
「BOOK&BED」ではなく、「BOOK&CLINIC」がそこにはありました。
「本だけのご利用も歓迎」と書いてはあるが、本だけのご利用をする勇気がなく通過。
(ホームページでみてみると本当に本だけのご利用歓迎しているようです。)
復路から、往路に建つマンションを眺めるのもよし。良いマンションは往路に多くあるなあ。
今、R-STORE内でジワジワ流行っている「萌えフォント〜目黒川編〜」をここで急に始めます。
ディズニーランドでミッキーの形を探す(詳しくないのですが)ような感覚で
「萌えフォント」を探しながら歩くのも楽しいですよ。
(おしまい。)
ここらでお腹が空きすぎて復路を完走(歩)できなくなりそうだったので、ランチタイム。
近くにあったので即決です。
ここにも良い古さがありました。生活感というか、「おかって」感というか。
窓辺に如雨露がぶらさがり、木には何かがへばりついています。(偽物です)
テラス席では喫煙ができます。
オーダーしたのは「アボカド焼き蕎麦」。(サラダ・みそ汁付きで950円)
日本蕎麦を焼いた上にたっぷりネギを乗せ、サイドにアボカドが3切れ。
焼きそばでいう紅生姜の代わりがアボカドでしょうか。
結果、このアボカドが大正解。歯ごたえのある蕎麦とネギの臭みは意外とガッツリ系で、
途中に「アボカド休憩」を挟むことでまた次の一口へと進められるのです。
夜は創作料理の店になるよう。パクチーメニューもいくつかあったのでまた来ます。
次に現れたのは「JOHANN」(ヨハン)。チーズケーキ屋です。
取り扱いは4種類のチーズケーキのみ。
まるで昔から人気の途切れない4人組のアイドルグループのような真面目さ。
78年創業。
チーズケーキって、スイーツというよりチーズを思い切り使った一品っていう感じがして好き。
子供も大人も好きだし。カステラになんとなく似てる。
切り分ける時に生クリームやイチゴが崩れたり倒れたりするあのストレスがないのもいい。
復路を思い切り脱線して最後にとっておきのこの店を紹介しよう、と心に決めていた店が定休日・・・。
三軒茶屋のTOWN NAVIを書いた時もそんなことがあった。
ここは、カセットテープとレコードの店です。月曜定休、13:00-20:00まで。
全ての音楽が視聴できます。耳をくすぐる懐かしい音を休日の午後にどうぞ。
5時間後、スタート地点に戻ってきました。すなわちゴール地点。
どうしても少し「お洒落」が見え隠れしてしまったけれど、
ここにあるのはずっと昔から流れる川であり、数十年前に建てられた大先輩な建物。
思い切ってお邪魔してみると意外と居心地がよく、友達の家みたいに長居できてしまう。
これを機に中目黒の「普段使い」、してみませんか。