来ました、以前も紹介させて頂いたことのある、アートの街「清澄白河」。
ここがアートの街と言われるようになった由縁は東京都現代美術館がオープンした後、現代美術系のギャラリーが続々増えていった事によるものです。
その後、ブルーボトルコーヒーの日本一号店やオールプレス・エスプレッソがオープンした事がきっかけで、カフェの街としても注目されるようになりました。
カフェにギャラリー、いいですね。休日の散歩にはもってこい。
この下町、深川は元々は倉庫・工場の多い地帯でした。
江戸時代に運河が造られたのをきっかけに水運業の中継地として発展してきましたが、昭和に入ってから物流の中心が陸上運送に取って代わられた事で衰退し、空き倉庫が多く残っているんだそう。
その倉庫を改装したギャラリーやコーヒー店が多く点在しています。
今回は、この清澄白河に今も残る古い建築を巡る旅に出たいと思います。
それではまず、駅を出てすぐの場所にある「清洲寮」から行きましょう。
この佇まい。
1933年、昭和8年に建てられたこの建物は「寮」という名前は付いていますが一般の住宅。
マンションやアパートという言葉が出来る前の名前が残っているんですね。
昔は白い外壁でしたが、今は黄色に塗り替えられています。
内部は当時の姿を色濃く残しています。
駐車場や色んな所に戦前の名残が残されていて、探索してみると楽しいですよ。
普通にマンションなので、節度を持って巡りましょう。
扉がまず、長屋のような格子戸!
中は2Kだったりと古いようです。あー、中に入りたい…
うずうずしますが、そんな事してたら時間が無くなるので上に上がっていきましょう。
今となっては希少な戦前建築の集合住宅。
古さはありますが、今も改修を重ね綺麗に残されています。
先日、ついに取り壊しが始まってしまった関根要太郎設計による「村林ビル」は本当に残念でしたが、こうやって昔の建物が今もその姿を残しているのは本当に有難いです。
この建物の一階には店舗も入っています。
その中で、今回は「ギフト・ラボ ガレージ」をご紹介させて頂きます。
こちらのお店はクリエイティブユニット「gift_」様によるギャラリー&カフェ。新潟県、越後妻有にある民家をリノベーションした「山ノ家」は宿泊も可能なんだそう。
扉を開くと出迎えるカウンター前と横には、様々な展示品が並べられています。
どれも素敵なものばかり。つい足を止めます。
お昼にはランチも営業中。
今回はキーマカレーを注文しましたが、ご飯もスパイスが効いていて、大変美味しかったです。
つい長居してしまう空間ですね。ごちそうさまでした。
▶︎ギフト・ラボ ガレージ 様( http://www.giftlab.jp/garage/ )
それではお腹も満たされたところで、引き続き建築巡りに出るとしましょう。
大通りへ出て南下するとすぐに広大な敷地を誇る清澄庭園、清澄公園があります。
ここは皆さん一度は足を運んだ事があるのではないでしょうか。
という事で公園と庭園は割愛させて頂いて、大通りを歩いていきます。
目的の場所に着く途中に見つけた通り。
今回は深川江戸資料館は立ち寄りませんが、深川の街の昔を知れるとても面白い場所なので良ければ是非。
その直ぐ近くにあるお土産やさん…なんだか楽しそうなので寄り道しましょう。
お土産屋さん「たかはし」。
実は深川の江戸切地図が欲しかったんですが、昔は置いていたものの今は無いんだそう。
でも近いものを見つけました。
明治時代ってかなり前ですよね。一部ずつしか無いとの事で、売り切れ次第終了!
買い占めた方はご一報下さい。是非覗かせて頂きたい…。
興味津々に店内を覗かせて頂くと、懐かしいオモチャや駄菓子の数々!
ダンボールで置いてるのはうち位だよ、なんて軽快に笑いながらお話を聞かせてくれた店主さん。
眺めていたらさくら味のお煎餅を味見させてくれました。
もう30年は此処でお店をされているそうです。
懐かしさに惹かれて、ラムネとさくら味のお菓子、竹とんぼをお買い上げ。
ラムネなんていつ振りに飲むんでしょうか。すごい懐かしい。
▶︎江戸みやげ屋 たかはし 様( http://www.edomiyageya.net/ )
ほくほくしながら店を出たら、向かいにも素敵なお店を発見。
こちらは「青葉堂」さま。
器や和食器などを扱われているお店のようです。
店内にはこだわりの品が素敵なディスプレイで並べられています。
お話を聞いてみると、こちらのお店はもう8年目。
季節によって品を揃えられているそうで、取材した3月は春を連想させる品が沢山ありました。これは胸ときめく…。
春の色が可愛らしい。
気付いたら色々と手に取ってしまってました。
▶︎青葉堂 様( http://aoba-do.com/ )
そんなこんなでじっくり眺めていたら、つい長居してしまったようです。。
本題から逸れてしまいましたが、桜モチーフの箸置きとお皿をお買い上げして店を出たあとは、目的の場所へ向かいます。
これは旧東京市営店舗向住宅。
関東大震災後、復興事業の一環として1928年に建てられた店舗付き住宅です。
清澄通りに沿ってなんと250m続いている鉄筋コンクリート造の長屋。
大震災で木造家屋が全て燃えてしまった事を教訓に、RC造で建てられています。
リノベーションされた建物も多くあり、名前こそ「店舗向住宅」ではありますが普通の住宅も多々あります。
カフェの街に名を連ねてからは、内部をリノベーションしたカフェやベーカリーショップなんかもあったりと賑やか。
その中から、BROOKLYN DELIをご紹介します。
昼はカフェ、夜はバー。中はリノベーションされていて、店名の通り何ともアメリカの雰囲気漂う内装になっています。
お昼ご飯は二つも食べれなかったので、別日に取材させて頂いた写真をどうぞ。
夜も美味しいご飯を出してくれそう。
ランチやクラフトビールなどもテイクアウトが可能だそうで、店からすぐの清澄公園でのんびりピクニックしながら食べるのも良さそうですね。
▶︎ブルックリン・デリ 様( http://www.brooklyn-deli.com/ )
そのまま更に南下して向かうのは、深川図書館。
前回も紹介させて頂きましたが、こちらの図書館前は公園になっていて子供の遊び場、そしてママ達の憩いの場。
平日、週末問わず子供連れのご家族で賑わっています。
こちらが最初に建てられたのは1909年。なんと明治時代です。
戦時中、この辺りは空襲を受けて焼け野が原と化しましたが深川図書館も例外ではなく、今の建物は1993年開設の三代目。
ですが昔の建物のデザインイメージを継承していて、二代目のものを再現した部分や一部再利用したものもあるんだそう。
この階段は写真スポットとしても有名で、「カメラ撮影の際は〜」という注意書きがあった辺りカメラを持った方が日頃から多く訪れているんでしょうね。
すみません、もちろん私も撮らせて頂きました。
館内は撮る事ができませんでしたが、地元の利用者の方で賑わっていました。
休日にはここで本を借りて、公園で読書なんて素敵です。
すぐ目の前にコーヒーショップ「アライズコーヒー」があるので、テイクアウトして公園でのんびりするのも良さそうです。
▶︎深川図書館 様( https://www.koto-lib.tokyo.jp/023_lib_fuka.html )
その向かいにはヨーガンレール本社があります。
「緑の多い場所に」との希望で此処に本拠地を置いたヨーガン氏。
後ろには川もあって、春には桜が見える。目の前には公園もある。なんて素敵な場所を選んだのか…。
そのまま南下して門前仲町の方へ向かうと、深川東京モダン館があるんですが、そこへ向かう途中にあるこの川、実は大好きな場所でして。
ちょっと寄り道しましょうか。
普段あまり人通りの無いこの川沿いの通りには桜が植えられていて、実はとっても素敵なお花見スポット。
清澄公園からそのままコーヒー片手に散策して頂きたいコースです。
小さい目黒川みたいな感じ。
この通りを良く歩くようになったのは桜が見えるこの物件をご紹介させていただくようになってからでした。
撮影させて頂いた時期はまだ春の訪れ前で、桜を待ち遠しく思ったものですが大変な反響を頂き桜の開花前に終了してしまいました…。
また桜の咲く時期、お部屋が空いた時にはぜひご紹介させてくださいね。
その対岸には同じく桜の見えるこちらの物件が。
またご紹介出来る日が待ち遠しい。
ここから大通りへ抜けると以前もご紹介させて頂いた「深川 伊勢屋」があるのですが、焼きたてのお団子がテイクアウト出来るんです。
温かいみたらし団子を食べながら道路沿いに是非歩いてみて下さい。
そうするとすぐ向かいに出迎えてくれるのが、芭蕉さんの銅像です。この写真を撮る前、この芭蕉さんの隣におばあさまも休憩していらして、とっても和みました。
芭蕉さんも俳句の旅の途中、こうやって休憩してらしたんでしょうね。
この先の通りもやっぱり桜がずらっと並んでいて、きっと春にはピンク色の花がトンネルのように道に屋根を作っている筈。
この通りでは芭蕉の綴った俳句を楽しむ事が出来ます。
数え切れないほどあったんですが、その中から選ぶとしたらこの一句。
選んだものの松は二木って何のことかわかりません。
詳しい方、良ければメガネのスタッフに遭遇した時には解説してやって下さい…。
此処からはヨーガンレール社の裏側を見る事が出来るんですが、これがまたすごい。
どれだけ良い眺望の中で仕事をされているのか。
これは流石に羨ましい。
調べたところ、どうやら社食もすごいらしい。ヨーガン氏がベジタリアンなので野菜中心の社食があるらしいんですが、何とも豪華なんだとか。
きっと中の方々も春が待ち遠しいんだろうな。
ちなみに弊社も目黒川に沿って建つ雅叙園マンションにオフィスを置いてるので、桜はとっても身近です。(張り合いどころ)
なんて懐かしい記憶を掘り返しながらの営業を交え、人様のオフィスと張り合ってみたところで、深川東京モダン館に着きました。
こちらの建物の歴史も古く、建てられたのは昭和7年。
私が昭和63年生まれなので、本当に先輩ですね。
平成20年に国登録有形文化財に登録された「旧東京市深川食堂」は、その当時国内で全盛を極めていたインターナショナルデザインの影響を受けたもの。
今でこそ真新しい印象は受けませんが、木造建築に溢れていた当時はそれはもう目に新しく映った事でしょう。
昔の建物を再利用して、今は観光施設として運用されています。
訪れた際には丁度焼絵付けガラス展が開催されていました。
一つ一つ作品を撮る事はできませんでしたが、色の付いた硝子を削ったり重ねたりして濃淡や色彩を出しているそうで、とても美しい作品が沢山並んでいました。
こういった教室があるのも江東区の良い所ですね。
さすがアートの街。
時期によって違いますが、様々な展示をされているので是非足を運んでみて下さい。
▶︎深川東京モダン館 様( http://www.fukagawatokyo.com/ )
さて、それでは一頻り楽しんだあとは最後の建物に向かいましょう。
最後にご紹介させて頂くのは、リノベーション当時に弊社でもご紹介させて頂いた事のある「深田荘」です。
こちらを手がけたのはゆくい堂様。
元は風呂無しアパートだったものを改装し、レトロな佇まいはそのまま、「隣」が見える昔の情景を残した建物へ生まれ変わりました。
2018.3現在全て満室で、様々なテナント様が入っていらっしゃいます。
外壁のトタン板のエイジングがまた良い味を出してるんですよね。
なんと1950年築というから驚きです。
今回は管理人様の運営される、1F(101号室)のFukadaso cafeにお邪魔させて頂きました。
スタジオやレンタルスペースとしても貸出可能だそうで、これは是非とも利用したい。
ここでしか撮れない写真が撮れる事でしょうし、イベントなども素敵な空間を演出出来そうです。
昼下がりという事で本日はデザートを頂いたのですが、注文させて頂いた自家製のチーズケーキは本当に美味でした。
店内もとても素敵な内装で、つい長居してしまう居心地の良さ。
とにかく天井が高く、緑が豊かで光溢れる空間。
置いてある一つ一つの家具にも管理人様の拘りが溢れていました。
こんな空間で読書したら、きっと有意義な時間を過ごせそう。
かくいう私もすっかり寛いでしまいました。
この素敵空間で寛いだ後は是非、この建物の中に入っている様々なテナント様を堪能されて下さい。
カフェの隣には、「リカシツ」というビーカーなどを使ったインテリアを扱うお店も入っていたりと、ついつい時間を過ごしてしまいそうです。
▶︎Fukadaso 様( http://fukadaso.com/ )
すっかり堪能させて頂いた所で、私もアートの街らしくアートを満喫してみようかと思います。
今回ご紹介させて頂いたのはほんの一部。
次の機会にはカフェの街、清澄白河もご紹介させて頂きたいと思います。
折角住むならば好きな街に、楽しい街に。
ご自身でも街の好きな所、発掘してみると楽しいと思いますよ。